あらすじ
年の瀬、主人公たちはヤマトタケルやアマテラスの故郷に似た文化が根付く町に滞在し、正月を迎える準備を進めている。マンサ・ムーサは町の神社に多額の賽銭を納めて回り、町外れの小さな神社にもたどり着く。だが祭司を名乗る、耳と尻尾のある少女ミタマは、金貨の山を見るなり怒り出し、一行を追い出してしまう。理由に納得できないマンサは、アンドロメダに、神社へ行って事情を聞いてくるよう頼む。
ストーリー
第1話
年の瀬、主人公たちは正月を迎えるために町に滞在している。マンサ・ムーサは晴れ着や年越しの料理などの準備を整えるとともに、近くの神社に多額の賽銭を納めて祭司たちから感謝されている。マンサは見返りを求めているわけではないと語り、まだ行っていない神社を回る参拝に主人公や藤堂高虎、リトリーたちを誘う。
一行は町の外まで足を伸ばし、人気の無い道の先にある小さな神社で、狐の耳と尾を持つ少女に迎えられる。少女はミタマと名乗り、自分はこの神社の祭司を務める普通の人間で、耳と尾は狐を使いとする祭神にならったものだと説明する。ところがマンサが荷車に積んだ金貨を賽銭として差し出すと、ミタマは金を見せびらかす悪趣味な賽銭だと怒る。相手が噂の金持ちマンサとクルセイダーズだと知ると、ますます拒んで一行を神社から追い出す。
第2話
マンサは、ミタマとは初対面のはずなのに怒られた理由が分からず首をひねる。藤堂高虎が他の神社で聞いたところ、あの神社の祭神は豊穣の神であり、新島八重によれば、似た神は故郷では商売繁盛のご利益もあるとされていたという。境内の傷んだ箇所も放置されており、金に困っていないとも考えにくいため、マンサは本人に理由を聞くことにする。ただし自分が行けばまた追い返されるとみて、別の者に頼むことにする。
そのころアンドロメダは、トリスタンやイゾルデと新年の初売りの広告を見ながら、予算が足りないと悩んでいる。マンサが報酬付きで調査を持ちかけると、アンドロメダは引き受ける。しかしカシオペアは、かつてアンドロメダが怪物の生贄にされかけたことを思い出し、危険だと反対する。マンサが模擬戦の相手を用意し、アンドロメダがそれを難なく退けると、カシオペアは娘の強さを認めて過保護を詫び、自らも同行することになる。マンサは、神社が何かのトラブルを抱えているならそれも解決してほしいと頼み、二人はイゾルデの提案で巫女風の衣装を着て神社へ向かう。
見習い巫女を名乗る二人に、ミタマは機嫌よく参拝の作法を教え、賽銭の額は決まっておらず心を込めることが大切だと話す。ところがマンサの話題になると、賽銭は多すぎても困ると言い張り、言葉を濁す。ミタマはこの神社を一人で切り盛りしていると明かし、頭を撫でたカシオペアは、その耳が飾りとは思えない手触りであることに気づく。
第3話
アンドロメダも耳に触れて、本物の耳らしいと確かめる。子ども扱いされて腹を立てたミタマは、祭司は仮の姿で、本当は数千年を生きる神だと口にしてしまう。二人が疑わずに受け止め、困っているなら頼ってほしいと伝えると、ミタマは社務所で事情を打ち明ける。
ミタマによれば、自分は豊穣の神だが、長い眠りから覚めると力の大半を失っており、原因は分からない。力の無い神は他の神に馬鹿にされると恐れ、人間のふりをしながら修行を続けているという。マンサの賽銭を断ったのも、大金に見合う祝福を今は授けられず、役立たずの神と見られたくなかったからだと語る。二人が力を取り戻す手伝いを申し出ると、ミタマは二人を補佐役に任じる。
アンドロメダはミタマをアビス退治に連れ出し、現地でマンサと合流させる。二人がマンサの依頼で来ていたと知ったミタマは騙されたと怒るが、ひとまず共にアビスを退ける。マンサは金を見せびらかして気分を害したことを謝りつつ、金の力で人を幸せにするという信条は曲げないと告げ、ミタマが賽銭を気兼ねなく受け取れるよう手を貸したいと申し出る。ミタマは、何でも金で解決しないことを条件にこれを受け入れる。
戦いの勘は少し戻ったものの、豊穣の神としての力はまだ戻らない。マンサは、ミタマが力を失ったことは伏せ、パワーアップの手段を探していると伝えたうえで豊穣の精霊ココペリを紹介し、ココペリは種をすぐに芽吹かせる力を見せる。力の秘訣はご飯をたくさん食べることだと聞いたミタマは、ココペリと競うように食べ続けて腹痛を起こす。呼ばれたアスクレピオスが二種類の薬を示すと、ミタマは強壮効果のある苦い方を選んで飲む。
第4話
薬が効いたミタマは、以前より気が満ちている感覚があると話す。マンサは、人々からの信仰を力の源とする神もいるという仲間の話を挙げ、町の人と関わって神社の知名度を高めることを勧める。ミタマは正体を伏せたまま、ゴミ拾いや排水溝の掃除をし、宿屋の老婆に初詣に来るよう呼びかける。託児所では、ミタマの真似ばかりするお転婆な女の子に振り回されるが、別れ際には遊びたければ神社に来ればよいと言い、父親を招く。
続いてミタマは、自ら手をかけてきた山の果実を一行に見せに行く。果実を狙うアビスを退けた後、ミタマはここ数年で一番の豊作だと喜ぶ。しかしそこへ魔術師風の男が町の人々を連れて現れ、自分たちの魔導具でこの山の生育が良くなったと説明して、魔導具を売り始める。ミタマが手柄の横取りだと抗議すると、男は証拠を求め、町の人々も寂れた神社にはご利益が無いと口にする。男に、神の力で花でも咲かせてみせろと言われたミタマは反論できず、豊作は魔導具のおかげだったのかと自信を失う。
後日、マンサは仲間に調べてもらった結果、魔導具は詐欺とまでは言えないが低品質な品を売る悪質な商売だと報告する。アンドロメダはコノハナサクヤヒメを呼んで山の植物と話をしてもらっており、植物たちが実ったのはミタマのおかげだと伝えられる。ミタマはコノハナサクヤヒメを近い親戚のような存在だと語り、自分の努力が無駄ではなかったと知って自信を取り戻す。
マンサとカシオペアはこれ以上関わらなくてよいと考えるが、アンドロメダは、ミタマ自身が男に言い返すべきだと主張する。アンドロメダは、生贄の場から自力で逃げた際、同じ頃に怪物を倒した英雄ペルセウスが自分が王女を救ったと言いふらし、結婚させられそうになった過去を語る。その経験から、他人の手柄を横取りする男が許せないのだという。話を聞いたミタマは、男に思い知らせると決め、信者の願いに応えるのが神だと奮い立つ。
第5話
大晦日、町ではマンサの手配で豊穣神の御業を披露する催しが開かれる。見物に来たツクヨミとスサノオは、祭司を名乗る少女がミタマだと気づく。ミタマは失敗を恐れながらも逃げずに男と向き合い、自分の世話した山の実りを男の功績と偽ったことを訂正するよう求める。種から稲穂を実らせられれば男が非を認め、できなければミタマが魔導具の売り子でも何でもする、という賭けになる。
ミタマが種をまいて呪文を唱えても、しばらくは何も起こらず、見物人の目は冷めていく。だが仲間たちや宿屋の老婆、お転婆な女の子の声援が広がると、芽が出て見る見るうちに立派な稲穂に育ち、ミタマは喝采を浴びる。ミタマは、余力は残らないものの失われた力が湧いたのは確かだと認め、一行に感謝を示す。コノハナサクヤヒメは、自分とココペリは控えていただけで手助けはしておらず、稲がミタマの期待に応えたがっていたのだと語る。
疲れ果てたミタマはそのまま眠り込み、目を覚ますと年が明けた朝になっている。年越しのパーティーやカウントダウンができなかったと嘆くミタマに、マンサは次の機会には盛大に開くと約束する。元日、アンドロメダは仲間たちに参拝の作法を手本として見せ、願い事を尋ねられると、良い一年だった去年のような日々がこれからも続いてほしいと答える。
登場人物
- ミタマ:町外れの神社の祭司を名乗る少女。正体は力の大半を失った豊穣の神で、一行の助けを得て力を取り戻そうとし、大晦日に稲穂を実らせる。
- マンサ・ムーサ:神社に多額の賽銭を納めて回る。ミタマに拒まれた理由を探るためアンドロメダたちに調査を頼み、その後は力を取り戻す手伝いをする。
- アンドロメダ:マンサの依頼で巫女姿で神社を訪ね、ミタマの耳が本物らしいと確かめ、神であることや力を失った事情を打ち明けられる。自身の過去を語り、ミタマが男に立ち向かうよう後押しする。
- カシオペア:娘のアンドロメダを心配して調査に同行する。ミタマの耳が飾りではないらしいと気づき、悩みを打ち明けるよう促す。
- コノハナサクヤヒメ:ミタマの近い親戚のような存在。山の植物と話し、豊作がミタマの努力によるものだと伝える。
- ココペリ:豊穣の精霊として紹介され、ミタマと大食いをする。
- アスクレピオス:食べ過ぎで腹痛を起こしたミタマに苦い強壮薬を処方する。
- 主人公:マンサの神社巡りに同行し、大晦日の催しを見守る。
- トリスタン・イゾルデ:アンドロメダの友人。イゾルデの提案で、アンドロメダとカシオペアは巫女風の衣装を着る。