あらすじ
マンサ・ムーサが建てた学園で、ハデスは夏休みの計画を楽しそうに話す仲間たちに憧れながらも、自分には向いていないと尻込みしている。休日の図書室でツクヨミと出会い、二人で静かに本を読む時間を過ごすが、そこへリシュリューが現れ、二人には夏休みが無いと告げる。筆記試験の成績は良かったものの、二人とも体育の授業を休んでいたため、水泳の補習を受けなければならなかった。泳ぎの苦手なハデスは、補習の監督役やツクヨミの手を借りて泳ぎの練習を始める。
ストーリー
第1話
休みの日、ハデスは涼しい図書室を目指して学園に来る。教室ではユノ、ジャンヌ、シルドラ、真田幸村、ミカエル、ヘルミィらが、戦いや調査と両立させて夏休みを楽しもうと話し合っている。ハデスもそうした青春に憧れているが、海で溺れて迷惑をかけるのではないか、自分では皆のように楽しめないのではないかと考え、大人しくしていようと決める。
図書室でハデスはツクヨミと会う。ツクヨミは姉に勧められて学園に籍を置いており、月の満ち欠けと潮の満ち引きの関係を調べている。かつてそれを記録する仕事をしていて、三千年以上たった今、自分の知らないうちに変わっていたら嫌だからだという。ハデスは資料の多い棚を案内し、二人は言葉を交わさずに本を読む。この時間を心地よく感じたハデスは、夏休みもこうして一緒に過ごせたらと願う。しかしそこへリシュリューが現れ、二人には夏休みが無いと告げる。
第2話
リシュリューの説明では、補習が終わるまで夏休みはお預けになる。二人の筆記試験の成績は上位だったが、太公望によれば、二人とも体育の授業をさぼっていた。太公望は、水泳の授業は水難事故から学生の身を守るためのもので、出席が必須だと説く。ハデスは水の事故で亡くなった死者たちの苦しむ姿を思い出し、そうした人を減らせるならと納得する。ツクヨミも補習を引き受ける。学園指定の水着を前に、ツクヨミは嫌がり、ハデスは自分の体型を見せて皆を不快にさせないかと気にする。太公望は、補習には自分たちしかいないと言って二人を励ます。
プールへ向かうと、ニライカナイ、スパルタクス、オリジンが遊びに来る。小さい子ども向けにプールが開放されていたのである。服のまま飛び込もうとしたり、オリジンが服を脱ぎだしたりと騒ぎになるが、引率のカティアが合流し、子どもたちは水着に着替えに行く。補習ではツクヨミが無駄のない泳ぎで向こう端まで泳ぎ切り、合格となる。ハデスは姿勢よく浮くことはできるが、足を動かすと後ろへ進み、そのまま息が続かず沈んでしまう。
第3話
初日の補習でハデスは上達しない。太公望によれば、水を怖がってはおらず浮くこともできるので、大きな問題は無い。ハデスは、溺れさえしなければよいと考え、なかなかやる気が出ない。その夜、ハデスは夢を見る。主人公が海に誘いに来るが、泳げないことを理由に断ると、主人公たちは彼女を置いて出かけ、部屋は水であふれる。目を覚ましたハデスは、本当の主人公ならあんなことは言わないと思う。それでも優しさに甘えていてよいのかと考え直し、誘われたときに機会を逃したくないと、泳ぎの上達を決意する。
この日は、急用の太公望に代わってレオニダスが監督役を務める。レオニダスは鉄の腕輪と足輪を着けて泳ぐ「スパルタ式」を提案するが、二人に無理だと言われ、見守り役に回る。練習方法に迷うハデスに、ツクヨミが自分から教えると申し出る。ツクヨミは、ハデスが考えすぎて余計な力が入っていると指摘し、プールの縁でのバタ足、手を引いての前進、途中で手を離す練習へと段階を進める。最後に、足をついてもよいからと、プールの端から端まで一人で進むよう課す。ハデスは何度も立ち止まりながら、向こう端に手を届かせる。
第4話
休憩中にハデスが礼を言うと、ツクヨミは自分が昔教わったとおりにしただけだと答える。そこへ、ツクヨミの学生ぶりを見にアマテラスとスサノオが現れる。ツクヨミに泳ぎを教えたのはアマテラスで、スサノオはツクヨミから教わった。ツクヨミによれば、自分が教えるとすぐにスサノオのほうが上手になったため、苦い思い出だという。兄弟姉妹を尋ねられたハデスは、ポセイドンが姉妹らしいが、家族で過ごした記憶が無く、順番もはっきりしないと話す。アマテラスはハデスを自分たちの妹にしようと持ちかけ、ハデスはうろたえるが、ツクヨミはそれを冗談だと打ち消す。
翌日、レオニダスは蘇生術を教えようとするが、練習用の人形は彼の心臓マッサージで壊れていた。ソロモンが代わりに持ってきたのは模擬戦用の頑丈な魔術兵で、二人はこれを相手に体を温めてから泳ぎの練習に入る。息継ぎには慣れてきたが、動きを組み合わせると、頭を上げるときに姿勢が崩れてしまう。そこへ主人公が弁慶やポセイドンを連れて遊びに来る。ハデスは、主人公の前で足をつかずに端から端まで泳ぎ切ることを目標にする。
ツクヨミに尋ねられたポセイドンは、ハデスと姉妹であることを認め、皆で力を合わせて大きな敵を倒したことを語る。ただ、どちらが姉かは覚えていないという。ハデスは記憶違いではなかったと安心する。主人公の提案で、ポセイドンが泳いで手本を見せるが、速すぎて参考にならない。主人公は、苦しくなってから慌てずに余裕を持って息を吸うよう助言し、ツクヨミは息継ぎのリズムを見せる。あと一歩まで来たハデスは、水中に潜ってポセイドンの自在な泳ぎを目にし、少しでも近づきたいと思う。
第5話
ハデスは、目指すべきはツクヨミの泳ぎだと考える。そして、筋肉が多いと沈みやすいのにどうやって泳ぐのかとレオニダスに尋ねる。レオニダスは、肺に大量の空気をためれば浮くと答える。ハデスはこの答えを試し、主人公とツクヨミの助言も合わせて、息継ぎの組み立てを頭の中でまとめる。ツクヨミが息継ぎのときに体を回して傾けていることにも気づく。知識と経験がつながる手応えに楽しさを覚えながら、皆の声援を受けて、ハデスはついに向こうの壁に手を届かせる。
休憩中、主人公はハデスを祝う。ハデスは、皆の助けがあったからで、もう一度同じことができるかはわからないと話す。主人公は、実力以上の結果を出せることも、周りが助けたくなる人柄も、ハデスの力だと伝える。昔なら自分を卑下していたハデスも、今はその言葉を素直に受け止めて礼を言う。やがて疲れたハデスは、主人公の肩にもたれて眠ってしまう。ツクヨミはポセイドンと弁慶を止めて静かにさせ、主人公の隣に腰を下ろす。三人は穏やかな時間を過ごす。
登場人物
- ハデス:語り手。泳げないことを気にしているが、夢をきっかけに上達を決意し、皆に教わって端から端まで泳ぎ切る。
- ツクヨミ:ハデスとともに補習を受ける。泳ぎは合格だが、ハデスの練習を自分から引き受けて教える。
- 主人公:プールに遊びに来てハデスを応援し、息継ぎの助言をする。泳ぎ切ったハデスを褒める。
- 太公望:補習の監督役。水泳の授業が必要な理由を説き、初日の指導をする。
- レオニダス:太公望の代わりに監督役を務める。筋肉と浮力についての答えが、ハデスの手がかりになる。
- ポセイドン:ハデスの姉妹。水中での自在な泳ぎを見せる。
- アマテラス:かつてツクヨミに泳ぎを教えた姉。ハデスを妹にしようと持ちかける。
- スサノオ:ツクヨミから泳ぎを教わった妹。アマテラスとともに補習を見に来る。
- リシュリュー:ハデスとツクヨミに補習を言い渡す。
- 弁慶:主人公と一緒にプールに来て、ハデスを応援する。