あらすじ
サリエルの役目は、死者の霊魂を月へ運ぶことと、天使を見張って裁くことである。だが主は千年前から何の意思も示しておらず、サリエルは自分が月の体制に従っているだけではないかと疑い始めている。月が何かを隠しているとも考えており、自分こそ堕天に最も近い天使かもしれないと思い詰める。そんな中、仲間たちとの海のバカンスで、自分の水着を誰にも褒めてもらえないトールの不満がきっかけになり、騒動が起こる。
ストーリー
第1話
サリエルは、主の意思はわからず、自分は月という体制に従っているだけかもしれないと考える。月には、主人公が語ったアビス誕生の経緯とは別の重大な秘密があるとみている。そこへ姿の見えない謎の声が話しかけるが、周りには誰もいない。サリエルは天使とは何かという問いに答えを持てず、自分が堕天に近いのではと考える。
浜辺では、水着姿でパラソルの下にいるサリエルをミカエルがからかう。サリエルは、ミカエルとウリエルが羽目を外さないよう見張るためだと言い張る。一方、トールは水着を誰にも見てもらえないことに腹を立てる。アポロンの説明では、ポセイドンが海のアビスを退治した礼として、一行は景色のよい区域を街の人から使わせてもらっている。そのため周りには顔なじみしかいない。主人公はジャンヌ・ダルク、ニライカナイと買い物に出ており留守のため、トールは代わりに葛飾北斎に自分を描かせようとするが、あっさり断られる。
第2話
北斎は、トールの水着は目立とうという狙いが見えすぎていると評し、二人は水着の好みで言い争う。トールに同意を求められたサリエルは、見た目で優劣を競うのは虚栄心につながり堕落の始まりだと述べ、大事なのは内面と振る舞いだと語る。服部半蔵も議論に加わり、大きければよいわけではないという意見に同意する。やがてトールは、自分が最強なのに軽く扱われていると不満を口にする。それを聞いたポセイドンは、喧嘩をするなら止めると釘を刺す。
買い物から戻った主人公は、喧嘩の代わりに体を動かすゲームで勝負しようと持ちかける。ミカエルの案でボール遊びをすることになり、サリエルの提案で二人一組のチーム戦になる。トールとサリエルの組は、ポセイドンの組と、クー・フーリン・メジェドの組を破って決勝に進む。負けたクー・フーリンはスカアハに稽古をつけてほしいと頼み込む。
決勝の相手は半蔵と北斎の組で、長いラリーが続く。トールの「雷神スパイク」に半蔵は「伊賀流・風神撃」で応じ、高く上がったボールを、サリエルがトールを踏み台にして跳び上がり打ち込んで優勝する。試合の後、北斎は戦うトールの姿を美しいと言って描き始め、生前に想像で描いた雷神図の本物に会えたと語る。トールは喜び、騒ぎは収まる。
第3話
休んでいたサリエルを、半蔵が人のいない場所へ連れ出し、前から目をつけていたと告げる。サリエルは月の秘密を探っていることが知られたのかと身構える。しかし半蔵の用件は、サリエルを忍に誘うことだった。任務なら仲間も裁ける非情さ、アイドルをこなす器用さ、球遊びでトールを踏み台にした度胸を、半蔵は高く買っていた。
忍の良さを熱心に語る途中で、半蔵は座礁船のそばに怪しい気配を感じ取る。そこにいたのはフルフルで、海辺の虫を集めて一行のバカンスを台無しにしようとしていた。さらに、虫を呼び寄せるニオイ玉を主人公の顔にぶつけるつもりだったと明かす。半蔵がその玉を壊すと匂いがフルフル自身に付き、フルフルは群がる虫に追われて海へ逃げていく。
サリエルは半蔵本人に興味を持ち、いくつか問いかける。半蔵によれば、目指す太平の世とはすべての民が笑って暮らせる世である。掟に背いた同志を何度も斬ってきており、最愛の弟子とも呼べる相手を斬ったときは胸が張り裂けそうだったという。その弟子も今は転生しているらしい。主君が過ちを犯したらどうするかという問いには、忍が本当に仕えるのは太平の世であり、そこに至らない主君なら見限ると答える。サリエルは、好印象を抱いている半蔵なら地上の監視に協力してくれそうだと考え、忍の諜報の技は月の秘密を調べるのに役立つかもしれないとも考える。だが最初の修行が水泳訓練だと聞くと、誘いを断る。
第4話
夜、半蔵は北斎に自分の絵を描いてほしいと頼む。忍がもっと人気なら才ある者を逃さずに済んだのではと考え、子ども向けに忍の絵札を付けた菓子を作る案も話す。そこへトール、サリエル、ポセイドンが来て、月の出ていない星空の話になる。北斎は、二人が海辺で見上げる花火の本当の良さを知らないと知り、花火は夜空に描く絵のようなものだと気づく。そして自分の手で花火を作ろうと決める。
翌日、北斎は描き上げた絵を半蔵に渡し、火薬の扱いに慣れた半蔵に手伝いを頼む。普通なら花火玉づくりには何か月もかかるため、二人はレオナルド・ダ・ヴィンチを訪ねる。新しい機械の模擬戦に付き合ったうえで、合作を持ちかける。ダ・ヴィンチは他の発明で忙しいと渋り、北斎が持ち出した主人公の絵という交換条件も断る。だが半蔵が主人公に関する新しいネタを耳打ちすると、全面的な協力を約束する。半蔵はふだんからダ・ヴィンチの発明品を任務に借りており、その見返りに話のネタを渡しているのだという。
続いてソロモン、プラトン、マスター・エリノアも協力を引き受ける。半蔵は、魔術にまで頼るのは孤高の絵師らしくないと意外がる。北斎は、描きたいものを描くには手段を選んでいられないと答え、人の一生は短すぎると語る。
第5話
一行は浜辺で、北斎たちが打ち上げる花火を待つ。あまり期待しないと言っていたサリエルは、花火が上がると我を忘れて夢中になり、終わるとアンコールをせがむ。終わってしまったのが寂しいと言うサリエルに、北斎はそれも花火の魅力だと語り、用意していた手持ち花火を配る。
北斎が描きためた絵を楽しみにする主人公に、トールと半蔵は自分が描かれた絵を差し出す。主人公が花火の絵を楽しみにしていると言うと、北斎は今夜の花火を絵にするつもりはないと答える。紙に描いた絵も千年の時に比べれば心許ないため、長く生きるサリエルやトールの魂に焼き付ければ永遠になるのではと考えたのだという。北斎はこの試みを、与えられた時間の短さへの反抗だと語り、二人にいつまでも元気でいるよう願う。サリエルは、いつか月の秘密に触れて追われ、天使でなくなる日が来ても、この思い出を消さないために生き抜こうと心に決める。
登場人物
- サリエル:天使としての自分と月の体制に迷いを抱く。球遊びでトールと組んで優勝し、半蔵からは忍に誘われ、北斎の花火を通して生き抜く決意を固める。
- 葛飾北斎:浜辺で絵を描き続ける絵師。仲間の力を借りて自ら花火を作り、長く生きる者たちの魂に焼き付けようとする。
- 服部半蔵:サリエルを忍に誘い、太平の世への考えを語る。北斎の花火づくりにも手を貸す。
- トール:水着姿を褒めてもらえないことに不満を抱き、球遊びの勝負を言い出すきっかけとなる。サリエルと組んで優勝する。
- ミカエル:天使長。サリエルをからかいながらバカンスを楽しむよう促す。
- 主人公:一行の隊長。トールたちの言い争いを見て、ゲームでの勝負を持ちかける。
- レオナルド・ダ・ヴィンチ:半蔵から主人公にまつわるネタを聞き、花火づくりへの全面協力を約束する。
- フルフル:虫とニオイ玉で一行に悪戯を仕掛けようとするが、サリエルに袋を没収され、半蔵にニオイ玉を壊されて自分が虫に追われる。
- ポセイドン:海のアビスを退治した功で一行に浜辺を使わせてもらうきっかけを作り、言い争うトールたちをたしなめる。